箱入り娘旅行記

人生は旅の連続

生まれて初めての1人旅。エアロスミスに会いに、いざ東京へ!

箱入り娘な私が初めて1人旅に出たのは、高校最後の期末試験の前日。

 

ある日、ミュージックステーションに出演する、ロックバンドのエアロスミスを見て、今まで聞いたこともない音楽と貫禄のパフォーマンスに

「このカッコいいジジイたち誰?!?」

と心を鷲掴みにされたのが、私の人生の転機。

 

翌日にはCDを買いに行き、あのカッコ良すぎるスティーヴン・タイラーといつか話すために、英語を勉強すべく、英会話スクールへ入校申し込みまで完了。

 

そんな私の人生を180度すっかり変えてしまった、神様のエアロスミスが来日すると知り、1人で東京まで行くことに決めたのです。

 

心配する両親を説得し、しっかりと旅の計画書を作成、提出し、迎えたライブ当日。

こちらが旅の「しおり」。両脇に書かれてる手書きの文字は、私からの電話での旅の状況報告を、父が書き出したもの。両親も不安だったんですね…。

行きの新幹線の中では、気休め程度に、大嫌いな数学のテスト勉強しつつ…

 

不安だけを心に抱き、生まれて初めて降り立った大都会。上野駅は広すぎて、ずっと上を見上げながら、行きも帰りも半泣きで、出口と乗り場を探した。

 

ライブ会場の東京ドームまで無事に到着。見知らぬ地で、1人で昼食を済ませ、ファンクラブのイベントが始まるまで、本当にあのエアロスミスに会えるのか、実感のない、不思議な気持ちで待ち続けた。

 

ファンクラブのイベントは、メンバーご本人たちによる、サウンドチェックが拝見できるという、贅沢なものだった。 私の人生を変えたミュージックステーションのパフォーマンス。ビデオに録画して何百回と、繰り返し観た、あのテレビの中だけにしか存在してなかった、エアロスミスが目の前で動いている…。それでも信じられず、バンドと私の間にはこうしている瞬間も、テレビ画面が存在している気がして、生で見ている実感が全くなかったのを覚えている。

 

ライブ本番も、今まで行ったことのある会場よりはるかに大きい、東京ドーム。アリーナからスタンドまで埋め尽くされる席。田舎の少女にとっては、もう、異世界でしかなかった。 まさに夢のような時間とは、このことだと思った。ライブは瞬く間に終わり、帰路へ着いた。

 

翌日、寝台車で到着した私を父が迎えにきてくれて、そのまま学校へ行き、うわの空で期末テストを受けた。もちろん、無事に卒業できました…!

 

この日のことを振り返ってみると、東京がどんなとこだったか、どうやって電車乗り継いだか、夜ご飯に何食べたかなど、ライブ以外のことはほとんど覚えていない。よほど緊張して不安だったんだろうなと思う。 しかし、着実に「自分1人で何かを成し遂げている」という実感を感じ、旅行への好奇心が強まり始めていたはず。

 

実は英会話スクールの申し込みは、両親に相談せずに決めて、「誰がお金出すの?!」と、父に怒られた。 しかしながら、その時まで自ら「何かをやりたい、してみたい」という言葉を、私の口から聞いたことがなかった両親は、怒る反面、喜んでいたようで、可愛い箱入り娘の願いを叶えて、入校を許可してくれたのでした。

 

エアロスミスとの出会いが、人生という私の「旅」の始まりのキッカケだと信じている。