箱入り娘旅行記

人生は旅の連続

-カタコンベ- フランス、美しいパリの地下の話

ハロー、ユカ・チェルシー・タムラです。

 

2007年に公開された映画「カタコンベ」。 当時大好きだった歌手のP!NKも出演しているので、映画館まで観にいきました。 映画の内容はイマイチだったけど… 舞台となったパリの街の下にある、納骨堂「カタコンベ」が実際に存在するということに、興味が注がれました。

 

カタコンベ」とは、ローマにあった教会の埋葬場所のことを指していましたが、死者を葬るために使われた洞窟や岩屋など全般を指す言葉となりました。

 

フランスのパリにあるカタコンベ「Catacombes de Paris」には、700万人ほどの骨が納骨されています。 戦争、疫病、飢餓などによって、多くの遺体を集団墓地に埋め続けてきましたが、土地の許容範囲的にも、衛生的にも限界が訪れ、採掘場として利用していた地下にあるトンネルに骨を移動し、新たな納骨堂にし始めたのが、カタコンベです。

 

そんなカタコンベを実際に訪れる日がやってきました。

 

カタコンベの基本情報

フランスのパリの14区にある公園「Square de l'Abbé-Migne」内に、入り口があります。

 

・住所:1 Avenue du Colonel Henri Rol-Tanguy, 75014 Paris

・月曜日が定休日

・営業時間は、午前10時から午後8時30分 - 最終入場可能時間は午後7時30分

・見学料金は、13ユーロ(2018年11月時点)

カタコンベ内の全長は、1.5km

・見学所要時間は、45分

・トイレとクローク設備は、無し

・入口から地下まで130段の階段を下り、出口まで地下から83段の階段あり

・地下の気温は、14度

バリアフリー対応でない

・14歳以下の子供は、保護者の同伴が必要

・スーツケースなど大きな荷物は持ち込み厳禁、40cm×30cm範囲内バッグ持ち込み可能

 

上記の項目は、カタコンベのオフィシャルサイトから抜粋しました。 その中には、こういう一文もありました。

 

「心臓や呼吸疾患のある方、怖がりの方、お子様には、地下内の見学は適していません」

 

少し恐怖を感じる一文ですが…パリのカタコンベの見学は、ご自身の判断で…!

 

見学チケット

私は早くから並べば、当日にチケットを購入して、余裕で入場できると思っていました。

 

カタコンベ近くのホテルに宿泊していた私は、7時過ぎ頃に近くのカフェへ朝食を食べに行った時には、すでに数名が並んでいました。強者がいるのもだと感心し、店内へ。 朝食を終えて、8時過ぎ頃にカフェを出ると、なんとその時にはカタコンベ前には行列ができていました…! 焦った私は急いで一旦ホテルへ戻り、行列に加わりにカタコンベへ向かいました。

 

ここで重大な過ちを犯しました。

 

カタコンベの入り口は小さな公園内の端にあり、そこから公園の柵に沿って、時計まわりと反時計まわりの2本の列が作られていたのです。

 

時計まわりの列は、当日に入口でチケットを購入する方用。

 

反時計まわりの列は、オンラインですでにチケットを購入済みの方用。

 

そうとは知らずに、焦っていて私は反時計まわり列に並んでしまったのです…チケットを持っていないのに…

 

これが違う列だと気付いたのは、営業開始時刻10時の10分前。 係りの人が列に来て「ではオンラインで購入したチケットを見せてください。」と言われ…私は反対側の列へと移動することとなりました…。

 

反対側の列に向かうと、先程の5倍ほどの人数、300人くらいが並んでいます。無駄にした「過ちの1時間」の代償は大きかった…。

結局、10月の寒空の下、3時間ほど並んで入場することができました。

 

オンラインでの購入

入場までの時間を短縮したい方は、事前にオンラインでのチケット購入がオススメです。 チケット購入時に、希望する日と時刻を選択できます。 カタコンベ内の一度の入場人数が200人まで制限されているので、管理のために時刻も選択制になっているようです。

 

オンラインで購入できる、この「skip-the-line ticket」は、通常の見学料金13ユーロに、オーディオガイドがセットになっているものしか販売されておらず、29ユーロと高めです。 しかもオーディオガイドの対応言語が、フランス語、英語、スペイン語、ドイツ語のみ。

 

日本語はなく、結構高めの値段設定ですが、何時間も並んで待つよりは、すぐに入場できた方が楽しめるかもしれません…。

 

オンラインでのチケット購入

 

潜入!カタコンベ

「怖いもの」と総称されるものが、私は好きです。

 

ホラー映画はニヤニヤ、スプラッター映画は爆笑、お化け屋敷もワクワクして楽しめます。きっとそれは、どこか頭の中で「作り物」だと分かっているからです。

 

カタコンベの一度に入場できる見学者の人数は、200人までとされています。 あまりにたくさんの見学者が訪れると、管理側も人手の面などでも大変ですし、混み合ったところを進んで行くのでは、じっくり見学もできません。

 

私もじっくり静かに見学したいと思っていましたが、やはりこれだけの人数がいれば、地下内で自分の前後にいる見学者と遭遇するのは、仕方ないとも思っていました。

 

私が入場する時、入り口の階段の前でほんの少し待つように言われました。チケットを販売している係員が、トランシーバーで地下内の係員に様子を確認して、オッケーが出たら、入場することができました。

 

孤独体験

入場許可が出て、念願のカタコンベに潜入!

 

想像よりも意外と暗い地下内をじっくり見学しながら、恐る恐る先へ進みます。

 

ふと気が付いたのですが、外にはあんなに見学待ちをする人たちの列ができていたのに、地下内に入ると、前方を目を凝らして見ても、後方を振り返っても、人の気配が全くありません。

 

人骨に囲まれて1人きりの静まりかえった薄暗い地下で、急に孤独と恐怖に襲われました。映画と同じように…

 

個人の歩くスピードによって変わってくるかとは思いますが、係員のトランシーバーでの連絡が、カタコンベに似合う、こうした演出を作り上げているのではないかと思えました。

 

箱入り娘の感想

カタコンベ内は思ったより湿気は少なく、通路は整備されていませんでしたが、歩きづらくはなかったです。でも全長1.5km、所要時間45分と長い道のりなので、スニーカーはマストです。

 

フラッシュを使用しなければ、カタコンベ内でのカメラ撮影は許可されています。

 

日本で納骨堂というと、骨壺に入った遺灰を、仏壇型などの小さなスペースに置き、故人を弔う場所です。 パリのカタコンベはそれとは全く違い、人骨がそのまま壁に積まれ、埋め込まれる形で納骨されていて、実際の人骨を目の前にしても、本物のようにはなかなか思えませんでした。

 

想像よりも長い道のりを、多くの人骨を目の当たりにしながら進んでいくほどに、いつも身近に感じていない「死」の存在を現実として認めざるを得なくなり、誰もいないかのようなカタコンベで、急に孤独と恐怖に襲われたのかもしれません。

 

京都の清水寺境内にある、随求堂で「胎内めぐり」というものを体験したことがあります。

 

全く何にも見えない暗闇の中を、壁に張られている数珠だけを頼りに進んで行き、秘仏とされるご本尊の下で願い事を1つ伝え、地上に戻り光を見ると、まるでこの世に誕生、新たに生まれ変わったような気持ちになれるというものです。

 

カタコンベの出口に向かう83段の階段を上り終え、外に出た時に私を照らした太陽の光が、やけに眩しく見え、何だか安らかな気持ちになりました。それはいつも遠ざけていた「死」の存在を確信した故に、太陽の光の陰にいつもあったはずの「生」の光に、気付いたからなのかもしれません。

 

私的には「パリの胎内めぐり」と呼びたいカタコンベ

 

この世を去ることになり、一度は埋葬され、そして掘り起こされ、時を経て多くの人たちにこうして見つめられている、今となっては誰なのかも知りようがない人たちの骨によって、作られるカタコンベ

 

ここでの体験は、生きることを違った視点から見つめられるキッカケになるかもしれません。

 

Catacombs of Paris